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『源氏物語』と江戸文芸(佐伯 孝弘)
世界に誇る日本の古典『源氏物語』は、後世に大きな影響を及ぼしました。江戸文芸も他ならず、近世小説や歌舞伎・浄瑠璃の演劇において、『源氏物語』は多々影響を与え、取り込まれています。
江戸時代の文芸の特徴を概説した上で、当時の様々な小説(井原西鶴作『好色一代男』、柳亭種彦作『偐紫田舎源氏』など)や演劇作品を取り上げつつ、江戸時代に『源氏物語』がどのように受け継がれ、俗化されていったか等について見ていきます。
<講師から一言>
『源氏物語』の享受史のみならず、江戸の文芸につき知りたいという方にも、楽しんで受講してもらえる講座にしたいと思います。
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『源氏物語』と堀辰雄 -「若菜」の巻を読む堀辰雄-(有光 隆司)
堀辰雄は日本の古典の中でも平安時代の女性文学を好んで愛読しましたが、とくに『更級日記』や『蜻蛉日記』の女性たちには深い同情を寄せました。それに比して『源氏物語』のような膨大な物語はむしろ苦手としましたが、堀が『源氏物語』に急接近したのには、折口信夫の影響が大きかったと思われます。また一方で、堀は日本の古典を語る際、決まって西洋の文学者の名を挙げています。たとえばプルーストでありトーマス・マンであり、レイモン・ラジゲなどです。本講座では「黒髪山」「姥捨山」「若菜の巻など」「更級日記など」等、戦時中に書かれたエッセイ類を手がかりに、堀の『源氏物語』に対する独特の読み方を確認したいと思います。
<講師から一言>
直接『源氏物語』を読み解くのではなく、堀辰雄が『源氏物語』をどう「再生」させたのか、まさに古典が再び生きる新たな表現の場に、ご参加ください。
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『源氏物語』と近現代の女性作家たち -円地文子がみた源氏の世界-(鈴木 直子)
近現代の女性作家たちにとって、『源氏物語』はどのような存在だったのでしょうか。女性が小説を書くことが必ずしも歓迎されていたわけではない中、女性が書いた長編物語である『源氏物語』は、書く女性たちにとって希望であり、よすがだったことでしょう。
本講座では、樋口一葉・田辺聖子・林真理子・角田光代など、源氏物語に縁の深い近現代の女性作家たちの中から、一九七〇年代に『源氏物語』現代語訳を刊行した円地文子という作家を中心にとりあげます。円地文子が『源氏物語』にどのように励まされていたのか、また源氏の世界のどんな部分に魅力を感じていたのか、六条御息所のイメージが色濃い『女面』という作品を中心にご紹介します。
<講師から一言>
円地文子らの『源氏物語』への特別な思い入れを、彼女たちが「女流」と特別視され、蔑まれてすらいた状況をふまえつつ理解していきましょう。
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『源氏物語』と映画(藤澤 秀幸)
昭和26年から36年までの間に、『源氏物語』の映画が3本作られました。戦前・戦中に『源氏物語』の映画はありませんし、昭和40年以降、令和に至るまで、『源氏物語』の映画はさほど多くはありません。『源氏物語』映画のちょっとしたブームがあったように思えますが、その背景や理由を考えつつ、昭和26年から36年までの『源氏物語』映画3作品を比較してみたいと思います。
『源氏物語』に関心のある方、映画に関心のある方、文学作品の映画化に関心のある方、はいうまでもなく、何でも知りたいという好奇心旺盛な方にも応えるお話をしたいと思っています。乞う、ご期待!
もちろん、それぞれの映画の名場面をご覧に入れます。
<講師から一言>
『源氏物語』映画3作品の主な出演者は、長谷川一夫、市川雷蔵、木暮実千代、山本富士子、寿美花代です。必見です!
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